『トーキョー・ナイトメア リプレイ1 ブラックダイヤモンド』第1話特別掲載。

◆Research05◆真紅の花
  シーンプレイヤー:橘エリカ
  シーンタロット:カブキ

 
 折りたたみ警棒を引きばし、土岐野ユウカをねらう男たち。
 明らかに、戦闘の訓練を受けた連中だった。
 しかし、エリカは動じることはない。
 “黄昏の時代”の夜を生きる者からすれば、それほどめずらしくないトラブルであった。

 
●第1カット

 
RL:では、カット進行を始めます。シーン変わって、シーンタロットはカブキ。敵は、トループ3グループです。スタイルはクグツ、レベルは4。
エリカ:配置はどんな感じ?
RL:キャストたちはひとつのエンゲージ、そこから近距離きよりの位置に敵のエンゲージがあるとします。
エリカ:ふうん、わかりやすいわね。じゃ、ユウカちゃんはテツヤに任せましょう。
テツヤ:俺は、〈ピックアップ〉がある。手番になったら、マイナーアクションでユウカをゴーストライダーに乗せられる。
エリカ:いいスタイル技能持ってるじゃないの。
 
 〈ピックアップ〉は、マイナーアクションで対象を自分の操縦するヴィークル(乗り物)に乗せることができるスタイル技能だ。
 テツヤのねらいは、ユウカを守ることにある。同乗させたユウカが狙われたとしても、ゴーストライダーの操縦者であるテツヤは、彼女の代わりに(〈操縦〉判定で)ドッジが行なえるからだ。
 
RL:そして【CS】を算出しましょう。

【CS】 
テツヤ 
エリカ 
唐巣 
トループA~C 

 本書では、『TNM2』を採用しており、カット進行は【CS】と【CSカレント】を管理して行なうが、読みづらくなってしまうので、【CS】に統一している。
 
エリカ:あら、あたしたちみんな【CS】8なのね。
RL:まずはセットアッププロセスです。このタイミングで宣言できるものがありましたら、どうぞ。
テツヤ:俺はないな。
エリカ:このタイミングで〈アドレナライズ〉が使えるんだけど、成功するカードがないわ。パスよ。
唐巣:右に同じく。
RL:トループたちもありません。そのまま、【CS】8のキャストのみなさんにメインプロセスが回ってきます。キャスト間で同値の場合は、相談して行動順を決めていいです。
テツヤ:では、俺からいこう。ムーブアクションはないが、〈ピックアップ〉でユウカをゴーストライダーに乗せよう。さあ、乗るんだ!
RL:「はい!」とテツヤの背にしがみつきます。
テツヤ:メジャーアクションで移動する。ヴィークルに乗っていると、〈操縦〉で判定して、[達成値÷10]段階以下の移動ができるはずだ。
RL:(ルールを確認し)そのとおりです。
テツヤ:(カードを切る)スペードの6を切る。〈バーンナウト〉3レベルのおかげで達成値+3で、15。一段階後方に下がる。
RL:後方に下がって距離を取った!
テツヤ:低速ギアでエンジンを吹かし、車体をぶん回してターンだ。
 
 ユウカを背に乗せたテツヤは、重い車体のゴーストライダーをたくみにターンさせ、男たちから距離を取る。
 高馬力のエンジンが生み出すトルクをぎよせるのは、みずから整備も手がけてくせを知るテツヤだからこそできるバイクテクニックだ。

 
唐巣:せまい公園で、なかなかやりますね。
エリカ:じゃ、次はあたしが行くわ。ムーブアクションでトループたちにエンゲージよ。
RL:では、じゃきっと警棒を構えます。
エリカ:伸ばしたレイザークロウでくわ。〈白兵〉〈修羅イクサガミ〉で攻撃こうげき。でも、カードがハートの4なのよね。〈魔性ましようの美〉で達成値を+3するわ。これで達成値17よ。
RL:〈魔性の美〉!
 
〈魔性の美〉はマネキンのスタイル技能である。
〈交渉〉の判定にプラスできる〈誘惑〉のレベル分だけ、他の判定の達成値にもプラスすることができる(1回のアクトにレベル回まで使用できる)。
 
テツヤ:なかなか魅せてくれる。
唐巣:さすがは“浅草の赤い花”!
エリカ:みーんな、あたしが華麗かれいに戦う姿にくぎづけって感じ
RL:男たちは思わず見とれそうになりますが、(カードを切る)ここでハートの10で〈回避かいひ〉判定をして17! 同値の場合は、リアクション側有利、けました。
エリカ:あら、なかなかやるじゃない。
RL:ふう、危なかった。しかし、手札が悪くなってしまった……。
唐巣:それはいいことを聞きました。私の行動です。ムーブ、マイナーなし。〈隠密〉〈元力:疾風エアリアル(正)〉〈葉隠はがくれ〉〈完全奇襲きしゆう〉でトループAを攻撃します。一じんの風がき、たおします。
 
 唐巣は、〈隠密〉で物理攻撃ができるようになる〈完全奇襲〉を組みわせ、風を操る〈元力:疾風(正)〉でトループを攻撃した。
 これにクグツのスタイル技能、〈葉隠〉を組み合わせたことで、さらにダメージを上昇じようしようさせている。
 

 
唐巣:(カードを切る)達成値は17です。
RL:けられるカードがない。(カードを切る)〈回避〉は失敗です。
唐巣:ダメージはPの20点です。
RL:トループのPの防御力ぼうぎよりよくは1点ですから、19点のダメージを受けます。HPは10点ですから、壊滅かいめつです。突然の強風によって、木の葉のようにがり、たたきつけられます。
唐巣:まっ、こんなもんですよ。
エリカ:すごーい、今の超能力ちようのうりよくでしょ?
唐巣:その辺は、国家機密ということで(笑)。
RL:しかし、こっちの行動です。まずはトループB、唐巣を攻撃! (カードを切る)スペードのAを切って、〈白兵〉〈葉隠〉で達成値21!
一同:おおっ!?
 
 Aのカードは、達成値21として使ってもいいし、11のカードとして使ってもいい。
 今回用意したトループのデータだと、Aを11とすると達成値の合計は21に満たない。
 その場合は達成値21を選んだほうが有効である。
 
エリカ:大丈夫、唐巣さん?
唐巣:大丈夫です。(カードを切る)ジョーカーを切ります。
RL:なんと!?
唐巣:ジョーカーはオールマイティとして使えます。ここは、ハートのAとして達成値21の〈回避〉を成功させましょう。
RL:では、するど一撃いちげきを唐巣はなんなく避けました。続いて、トループCがエリカを〈白兵〉〈葉隠〉で攻撃します。(カードを切る)達成値17です。
エリカ:さっきはカード悪かったんだけど、今度はこれ引いちゃったのよね。(カードを切る)はい、ハートのAで、達成値21の〈回避〉!
RL:ひらりとドレスを翻し、華麗かれいに回避ですね。立て続けにAやらジョーカーやら、派手な札が飛び交った気がします。
テツヤ:これで、全員アクションランク0か。
RL:はい、クリンナッププロセスとなって第1カット終了です。
 


 
●第2カット

RL:第2カット。セットアッププロセスです。
エリカ:〈アドレナライズ〉を使うわ。(カードを切る)でも、スートに合う札がないの。失敗して、手札を回すだけよ。成功したら【CS】がカードの数字分あがって、達成値も+2されるんだけどね。
RL:あえて失敗して、いいカードを引くことを期待する。『TNM』の基本的なテクニックですね。
エリカ:ここで失敗しても大した意味はないしね。
RL:では、セットアップは終了。続いて、イニシアチブプロセスです。
エリカ:少しはいいとこ見せたいから、あたしからでいい?
テツヤ:任せる。
エリカ:じゃ、エンゲージしているトループCを攻撃する。(カードを切る)〈白兵〉〈修羅〉で達成値20よ。あたし、〈白兵〉1レベルでハートしかないのよね。
RL:1スートにかけるとは。(カードを切る)駄目だめです、〈回避〉失敗で達成値0。
エリカ:ということは差分値20ね。ダメージはS34てーん!
RL:すごいダメージが出ましたね。そいつらは、シャッと紅いつめかれて戦闘不能です。
テツヤ:次は俺の攻撃をさせてもらう。ムーブアクションで、トループBへ移動だ。ユウカを乗せたまま、アクセルを開く!
RL:鋼鉄の馬がいなないた!
テツヤ:〈操縦〉〈ライドファイト〉、(カードを切る)ハートのQを切って達成値19の攻撃だ。
 
「しっかりつかまっていろ!」
「はい……!」
 テツヤは、アクセルを開いて一気に加速する。
 ゴーストライダーの前輪が持ち上がり、男たちをまとめてばす。

 
RL:これで、トループはすべて戦闘不能です。
エリカ:こいつらから何か聞き出せそうなことはないと思うわ。きっと旭鷲警備の連中でしょ?
RL:彼らは口を割りませんが、旭鷲警備の人間であることは明らかです。その中には、エリカが見た顔もいます。
エリカ:ほらーっ、やっぱりユウカちゃんをさらおうとする悪いヤツじゃん!
テツヤ:強硬手段に出る理由ができたかな……。
唐巣:我々の調査が真実に近づいているということですかね。
テツヤ:俺は、ユウカを連れて事務所に向かう。聞きたいことがあったら後で来てくれ。
エリカ:わかったわ。
唐巣:こちらも了解です。
テツヤ:では、そのままユウカを乗せてこのシーンから退場だ。
RL:男たちの襲撃からユウカを守り、このシーンは終了となります。全員登場なので、舞台裏はありません。