『ナイツ・オブ・ザ・ドゥーム』⑥
シナリオアイディアジェネレーター

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 現在好評発売中の『ナイトウィザード The 3rd Edition』シナリオ集『ナイツ・オブ・ザ・ドゥーム』の紹介ブログ第6回になります。
 今回は『ナイツ・オブ・ザ・ドゥーム』に掲載されている。シナリオアイデアジェネレータールールの紹介を行なっていきます。


■シナリオのアイデア
 シナリオアイデアジェネレーターは、その名のとおり、『ナイトウィザード The 3rd Edition』のシナリオ、その核となるようなアイデアを生み出すためのルールとガイダンスです。
 用意されたチャートを振ることで、さまざまなアイデアの素材が生まれます。それを組み合わせて、アイデアの形にしてみようというルールなのです。

●アイデアって?
 一口にシナリオのアイデアといってもその範囲は多岐に渡るし、量やその内容についても個人差があるものです。事件の背景があればシナリオのアイデアとして使えると考える方もいらっしゃるでしょうし、面白い敵のネタが欲しいという人もいるでしょう。
 今回のシナリオアイデアジェネレーターでは、(『ナイトウィザード The 3rd Edition』の)シナリオのあらすじに相当する部分を作成することを目的としています。
 用意されたアイデアチャートは、振ることであらすじの材料を提供してくれます。その材料にあなたが手を入れることで、シナリオのあらすじを作ってください。
 なお、『ナイツ・オブ・ザ・ドゥーム』のシナリオアイデアジェネレーターでは、シナリオの背後、いわゆる黒幕として破滅の四騎士のいずれかが存在するという形を取っています。このような前提条件を用意することで、アイデアに方向性を与え、まとまりやすくしています。

●BOSSデータ
 クライマックスフェイズで戦ういわゆるボスキャラクター、このデータ作成に難儀するという方もいらっしゃると思います。『ナイツ・オブ・ザ・ドゥーム』には、4つのボスキャラクターのデータをボスキャラクターテンプレートと称して掲載しています。これらのデータを利用することで、クイックスタートのように手軽にボスキャラクターを作成することができるでしょう。

■アイデアチャートを振ろう
 アイデアチャートは6つのチャートからなっています。このチャートを振ることで、シナリオのアイデアを構築していくのです。
 まず最初に、決定された項目を確認するためにシナリオアイデアジェネレーターシートを用意しましょう。
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 こちらは『ナイトウィザード The 3rd Edition』公式サイトからダウンロードできますので、別のウィンドウやタブで表示しておいてください。

●権能チャート
 権能チャートは、事件の背後にいるであろう破滅の四騎士を決めることでシナリオの方向性、イメージを決めるチャートです。
 事件を彩るキーワードがいくつか書かれています。これだけでは何にもなりませんが、ここの言葉のイメージが後に続くチャートに影響を与えます。
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●事件の規模チャート
 シナリオで扱う事件がどの程度の被害や影響を及ぼすのか、その規模をチャートで決定します。ご家庭内の危機から世界の危機までさまざまなものがあります。
 この規模と前述の権能チャートが組み合わさると、意味が見えてくると思います。たとえば、権能が支配で、規模がご近所だったとしましょう。ご近所には学校とか組織というものを含めてよいということになります。規模を輝明学園と仮定すれば学校の支配という話になりますし、文字どおりのご近所だとすると自宅周辺が敵に支配されている? 日常を過ごすべき場所が敵地になる。これはとても恐ろしいことではありませんか?
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●エスカレートチャート
 エスカレートチャートは、果たしてこの事件を放置したら、何が起こるのか? あるいはウィザードが解決に失敗したらどうなるのかを決めます。これは『ナイトウィザード The 3rd Edition』ですべてのPCに用意されている「ウィザードは侵魔による侵攻から世界を守る者である」というモチベーションを補強するための情報です。
 自分が命を掛けることで何を救うことができるのか、それ情報は極めて重要なことではありませんか? 
 今回は、暗黒支配とでました。支配が永遠に続いていくということのようです。
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●事件のはじまりチャート
 ここからは実際に何が起きたのか? の材料となるものを見つけていきます。前述で支配、学園の危機と出ていますのそれに合ったものを選択するのもよいでしょう。ランダムに振っても構いません。チャートはROCです。そのまま直球に学園支配や受験戦争なんかは学校を舞台にしたシナリオに良さそうです。
 今回はあえて経済支配にしてみましょう。支配、舞台は輝明学園、はじまりは経済支配。輝明学園における経済、学生相手に取引きできる価値のあるものが[ライバル](*1)によって支配されてしまった。それによって[協力者]は(主に経済的に)困窮し、[ヒロイン]も被害を受けているようです。
 たとえば金銭はこの段階で違いますね。ウィザードが持つ貨幣と一般学生の持つ貨幣は違いますから。
 輝明学園の学生であれば誰もが価値を認める物が[ライバル]支配された、それはなんでしょうか。これを考えるのがシナリオのアイデアの核となります。ここでは、一端棚上げして、次のチャートを振ってみましょう。

(*1)
 []内にはシナリオに登場するオリジナルのNPCの名前が入ります。
 [ライバル]とはPCであるウィザードと利害が対立する者です。多くの場合は侵魔ですが、ウィザードやイノセントであることもあり得ます。
 [ヒロイン]は、[ライバル]やシナリオの敵によって迷惑や被害を受けている者を意味します。PCたちと個人的な交友関係を結んでいることが望ましいため、個別のNPCとして設定するのです。
 [協力者]は、PCたちに協力してくれるNPCで、情報を提供したり、事件の解決を依頼したりといった形で関係します。今回のシナリオでは直接被害を受けているようですので、トラブルの解決を依頼してくるのかも知れません。
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●解決策チャート
 事件をウィザードはどうやって解決するのか、それを決定するチャートです。とりあえず振ってみましょう。65の喪失がでました。
 ここで整理してみましょう。

権能:支配
規模:ご近所(輝明学園)
エスカレート:暗黒支配
事件のはじまり:経済支配
解決策:喪失

 何かを失うことで、この事件は解決に向かうようです。学園の経済を成立させている何かを敵(この場合は[ライバル])は支配しているようです。それを失うのでしょうか。
 [ライバル]が支配しているものが決まれば、いろいろが見えてきそうです。
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●サプライズチャート
 サプライズチャートはシナリオ中に起こるハプニングやサプライズです。スムーズに進行しすぎて手応えが足りない、そんなこともあると思います。そんな時に、サプライズチャートのイベントを起こすということになります。今回は……35……愛憎。なるほど、“事件のはじまりチャート”では、[ライバル]と[ヒロイン]の関係が不明瞭だったのですが、愛憎関係となればわかりやすい。[ライバル]が事件を起こした動機として使えそうな気がします。
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■まとめ
 それでは、シナリオのアイデアをまとめて見ましょう。ここまでチャートで決定された要素は次の通りです。

権能:支配
規模:ご近所(輝明学園)
エスカレート:暗黒支配
事件のはじまり:経済支配
解決策:喪失
サプライズ:愛憎

 本当はこのタイミングで[ヒロイン]、[ライバル]、[協力者]のNPCも決めておいた方がスムーズなのですが、今回はNPCについては割愛しております。さて、まとめ上げて見ましょう。
 経済……今回のシナリオは学園が舞台。そこで学生全員にとって価値あるものといえば履修単位ではないでしょうか。つまり、[ライバル]が支配したのは教職員。[協力者]はそれから逃れた教師あるいは非常勤講師というのはどうでしょうか? [ライバル]に逆らったことで、解職されて収入が断たれてしまったのです。
 学園の支配に乗りだした[ライバル]は学園の教職員を支配し、授業を好きなように変更していきます。
 その目的は[ヒロイン]にあった、[ヒロイン]が何の気なしに願った願望。それを叶えることで、悪魔的取引きによって、[ヒロイン]の魂(プラーナ)を奪おうという計画だったのです。

 と、こんな感じです。シナリオアイデアとしてそこそこ使えるものになっていないでしょうか。