『ひねもすTRPG用語集』
 第10話:シナリオ

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筧:(バーのマスター風の衣装で)お客様、まずは左の四コマをご覧ください。当店ではまず左の四コマをご覧になってから、続く記事を読んでもらうスタイルをとっております。
小野:……今回はバーテン風か。
郡司:よ、よくやる。
泉:本当に、筧くんはノリがいいですね♪

 ―――というわけで、まずは左の四コマからご覧ください。
 ご覧みになりましたか?
 では続きをどうぞ。

小野:さて、みんな今回は特別な回だぞ。
郡司:特別?
小野:本『ひねもすTRPG用語集』では「紹介してほしい用語」の投稿を募集していたが、その採用第一弾のネタが今回の「シナリオ」についてだ。
筧:おおっ!
小野:まずは、投稿者のサラルさん、どうもありがとうございます。
一同:ありがとうございます!
小野:では、投稿を紹介しよう。


 いつも、『ひねもすTRPG用語集』を楽しく拝読させていただいています。
 TRPGを遊ぶ時、シナリオが必要ですよね。
 このシナリオという言葉ですが、ドラマ・映画などの台本として、一般的に認識されているものじゃないでしょうか? でもそれらの“一般的なシナリオ”と“TRPGのシナリオ”はなにか違う気がします。
 そこで、“TRPGのシナリオ”の特徴について解説すると、TRPG初心者の方も助かると思い、メールしました。
 簡単ですが、お役に立てると幸いです。

 埼玉県:サラルさん

郡司:―――というわけで、「シナリオ」が今回取り上げる用語なんだが、ちょうど俺も「シナリオ」について知りたいところだったんだ。
泉:(ピン)あっ、ゲームマスター(GM)をする準備ですね。
トラ:郡司くんも、研究熱心だね。
郡司:そ、それほど大げさな話じゃないんだが。プレイヤーとして遊んだ経験からすると、TRPGのシナリオはサラルさんのいうとおり、いわゆるドラマや映画の台本とは違いそうだな――と思ったんだ。
筧:確かに、そのまんま同じものってワケじゃないよな。
小野:うむ。で、TRPGのシナリオは、4コマで説明したとおりだ。

 シナリオとは、プレイの開始から終了までの流れを想定したプランのようなものである。
 プレイヤーキャラクター(PC)のクリアすべき障害が配置されている。
 最終的な障害(ラスボスなど)をクリアすることによって、PCは報酬(金銭・経験点・ヒロインの笑顔、など)を獲得し、セッションは終幕を迎える。
 
小野:細かいところは置いておいて、要約するとこういうことになるな。
郡司:なるほどな。やっぱり、クリアすべき障害ってのが明確なのがTRPGらしいってところかな。
筧:そうだなぁ。PCたちには、戦闘力やトラップを回避する能力があるから、逆説的だけど、それらの能力を活かす“障害”をどう配置するかは、TRPGのシナリオのおもしろみじゃないかと思うぞ。。
トラ:僕はそこに全力を注ぎ込むよ。念入りに仕掛けたトラップにPCが引っかかる姿は、シナリオ作成の醍醐味だね。
筧:トラのシナリオはひねくれすぎてんだよっ!?(笑)
泉:あと、“報酬”も大事ですね。
筧:ああ。PCがシナリオを達成した実感につながるからな。
郡司:なるほど。……だけどさ。
小野:……?
群司:“障害”や“報酬”があるってだけだと。TRPGの特徴とは必ずしも言えないんじゃないか?
小野:ほう。
郡司:ほら、アクションもののドラマや映画だと、やっぱり悪役や怪物など戦って倒す“障害”はあるし。その結果、ヒロインが幸せになったりという報酬を主人公が得ることも定番だ。
泉:それはそうですね。
郡司:恋愛ものだって、恋敵や、恋人の肉親もまた広い意味では“障害”になるだろ?
トラ:………つまり。郡司くんは恋敵や肉親を、剣や魔法や巨大ロボで倒すドラマをたくさん見てきたと?
郡司:そういうことを言いたいんじゃねぇぇぇぇ――っ!
筧:ていうか、逆に見たいぞそのドラマ(笑)。
トラ:いや、話の腰を折ってごめん(笑)。
小野:オホン、話を戻そう。まあ、ゲームである以上、TRPGでは障害のクリアが、シナリオの特徴であるのは本当のことだ。
郡司:ああ。
小野:そのうえで、ドラマや映画でも障害のクリアは当たり前のようにある。というかむしろない方が珍しいと思う。
郡司:……。
小野:そんな中で、TRPGのシナリオ特色といえるのは「展開が変わる」かもしれないってことだ。
郡司:「展開が変わる」……か。
小野:前回、泉がいったとおり、TRPGはPCの選択や戦闘の結果によって、展開――話の流れが変わることがあり得る。
筧:それこそ、GMが予想もしていなかった形になることもあるよな。
泉:ええ!
郡司:で、その「展開が変わる」ことは、TRPGのシナリオにどう関わってくるんだ?
小野:まず、シナリオの作者が「展開が変わる」ことを予想している場合は、シナリオの分岐があらかじめ用意されていたりする。
トラ:「このトラップを回避できなかったらPCは捕まってしまう」「回避できたら敵と有利な状態で戦闘できる」みたいな感じだね。
郡司:なるほど、物語が必ずしも一本道ではない……それがTRPGのシナリオの特徴なのか。
泉:そういうことなんです!
郡司:………だけど、GMの想定外の展開もあるんだろ。
小野:あるな。
郡司:その場合どうなるんだ?
筧:ふっ、そんな時はアドリブだ!
泉:はい。そんな美味しい展開の時こそ、GMの知恵と勇気で乗り切るんです!
郡司:そ、そういうもんか。
トラ:(ぽんぽんと郡司の肩を叩きつつ)ああ、そういうもんだよ。


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